未知スペースデブリの効率的な探索方法

 
静止軌道領域(平均運動0.9周回/日以上1.1周回/日以下,離心率0.2以下,軌道傾斜角70度以下)では,内部エネルギーの解放に起因する破砕が,スペースデブリが増殖する主な原因と考えられている.発生する破片の中でも,運用中の衛星に周期的に接近する破片の発見が必要とされている.この研究では,破砕によって発生する破片の大きさ,面積質量比,質量および放出速度を記述する破砕モデルと地球を周回する人工天体の軌道を計算する軌道伝播モデルを組み合わせ,任意観測領域を任意時刻に通過する破片群の存在確率および移動量を予測することで,未知スペースデブリ探索の効率化を図る手法を静止軌道領域において研究開発した.
破砕事象の規模並びに時刻が特定されていない場合でも,定性的に観測計画を立案することができることを実証した.また,研究に利用した光学望遠鏡の観測限界より明るい未知スペースデブリに対して追跡観測・軌道決定を実施し,連続画像上の未知スペースデブリの予測移動量により起源同定が可能であることを示した.さらに,連続画像上の未知スペースデブリの予測移動量に基づき連続画像を重ね合わせることで,光学望遠鏡の観測限界より暗い未知スペースデブリを検出することに成功した.